「これくらい大丈夫!早くして~」「これくらい痛くない痛くない」
毎日の家事・育児に追われているとつい言ってしまう子供をせかす言葉。
無意識に子供を追いつめ、想像以上に苦痛を与えているかもしれません。
最近よく耳にする感覚過敏。どんな症状があるの?
娘は月に一度、療育に通っています。本人はとても楽しみにしていて私としてもそんな娘を連れて行くのが毎月の楽しみになっています。
そこでの娘は、特に物怖じすることもなく先生やお友達とも馴染んでいるように見えます。ただ、先生の読んでくれる紙芝居の展開にちょっと恐怖を感じたときや、思わぬ物音が鳴り響いたときに席を立ってしまうことがあります。
同じ療育に来ているのは、とにかく動くパワフルな子、物静かで椅子の代わりにお母さんの膝に座っていたい子など、少人数ですがいろんなタイプのお友達がいて、それぞれに感覚過敏もあるそうです。
娘の感覚・具体的な例
感覚 (症状の例) |
娘の場合 |
---|---|
目・視覚 (まぶしい) |
とくに過敏さは感じられない |
耳・聴覚 (大きく聞こえる 話し声が聞き取れない) |
新幹線などで、一時間以上耳をふさいだままでいる 風呂場で洗面器を立てかける音が響くので、前もって耳をふさぐ |
鼻・嗅覚 (特定の匂いで頭痛など) |
とにかく敏感で苦手な匂いに機嫌を損ねる バスに乗るとぐったりする |
口・味覚 (特定の食感が苦手) |
食べられるものが極端に少ない たとえ空腹でもなかなか新しいものには挑戦しようとしない |
肌・触覚 (服のタグが苦手) |
手が濡れたり、クリームでべとつくのを嫌がる |
痛覚 (痛みに弱い) |
注射のあと半日以上、腕を動かそうとせず、触れさせない |
このうち、娘は嗅覚と味覚(食感)の過敏さが特に強いのです。
育てにくさを感じるとすれば、この二つの感覚過敏に行きつきます。親としても手強すぎて本当にお手上げ状態…嗅覚と味覚がここまで過敏でなければ偏食も癇癪もだいぶマシだろうなと想像がつきます。
療育のお友達の中には、聴覚過敏がひどいので外出時に耳栓を使うようにしたら落ち着くことができたという子もいます。娘は聴覚過敏に関しては、それほど強くはありません。
例えば、他のことに気を取られている場合は、そこまで過敏さは感じられなくなります。触覚についても同様です。
感覚過敏は単なる甘えやワガママではない
感覚過敏があり思うように日常生活が送れないと、辛くてストレスを抱えているだろうなと漠然と想像するのは簡単です。
出来ないことには代替え案を
娘の通っている療育の先生から、感覚過敏の場合、脳での感じ方が根本的に違っており、本人は本気でそう感じているのだから、「これいくらい痛くないでしょう?」「これくらい大丈夫でしょう?」という対応はNGであるとお話されました。
確かに、もし自分に感覚過敏があったとしたら、その症状じたいが辛いだけでなく、他の多くの人には理解できない感覚の為に自分の不快感を訴えても伝わらない、大袈裟だ、甘えだと誤解されるのはとても耐えがたいだろうなと感じます。
そして、ふと私にも他の人とは完全に感じ方の違う感覚があるということを思い出したのです…
【質問】感覚の違いは特別なことではない!もしかしたらあなたにも?!
キンキンに冷えたかき氷を食べて、頭がキーンとしたことがありますか?
その感覚、私は生まれて一度も経験したことがないのです!
どんなに急いで口の中に沢山かきこんでもです。
私自身の周りとは違う感覚 ①
アイスやかき氷を誰かと一緒に食べているとき、多くの人が頭がキーンとすると言うけれど、私にはその感覚が全くないのでずっと不思議に思ってはいたのです。しかし、何の支障もないので大して気に留めることもありませんでした。
とは感じるので、ひたすら早食いは出来ませんよ。
療育で先生に根本的に感覚が違うという話を聞いた時、そういえば私にはこのキーンとする感覚がないなということを思い浮かべ、こういうことか!とハッとしました。

私は冷たいものを食べて頭痛を訴える人の感覚が分からない。だからと言って、頭痛を訴えている人を大袈裟だと思ったことはないけれど、同じ環境で同じ体験をしても人によって感じ方が全く違うことがあるのです。その事実を自分の感覚で直に感じたというのは、感覚過敏の当事者の気持ち、他者とかかわる上での戸惑いを想像するのに役立つ体験だなと思ったのです。
そもそも、痛みに強いとか弱いとか…実際に自分以外の人達がどう感じているかなんて永遠に体験することは出来ません。
痛くてつらい時に、本当に痛いの?なんて反応をされたら誰だって傷つきます。大人であれば出産の痛さを鼻からスイカ?口からスイカ?などと表現してどうにか相手に伝えられるかもしれません。スイカの例が的確な表現なのか個人的には疑問ですが笑
まして、まだ痛みや感覚を的確に伝えることができない小さい子供が、不快感を示していれば、たとえそれが自分には理解し難くとも、受け止める姿勢でいたいと思いました。
私自身の周りとは違う感覚 ②

ちなみに、私にはもう一つ多くの人とは違う感覚がありました。
よくある油性ペンやカラーペン。あれで紙に書く時の摩擦音が一気に鳥肌が立つレベルで不快なのです。耳をふさぐか、必死に他の事を考えたり鼻歌を歌ったりして紛らわさずにはいられません。
さらには、あの音を実際に聞いている訳ではなくても、頭の中で想像しただけでも背中がゾーっとして鳥肌になってしまうんです。もちろん今この瞬間も背中がゾクゾクしています…
子供のころに、学校でペンを使うことは日常的にありふれた光景です。先生の指示でクラス全員で一斉にペンで何かを書く場面では、いつも肘をつくふりをして密かに耳をふさいでいました。
もし先生に、こんな風に言われていたとしたら…と考えるとゾっとします。
ペンで書く音に耐えられないストレスに加えて責められる泣(フィクションです)
みなさんはどうでしょうか?
感覚過敏とまでは言わなくとも、生活に支障がないために特に気に止めていないだけで、もしかしたら多数の人とは違う感覚があるかもしれません。
自分の感覚を押し付ける言葉はひかえたい
まず過敏があろうがなかろうが、誰だって自分の感じ方(それが苦痛な感覚であればなおさら)について無理解な言葉を浴びせられると苦しいですよね。
[jin_icon_pen color=”#e9546b” size=”20px”]今回は感覚の違いについて書きました。
私自身、時間に追われ忙しい時など特に、早く物事を進めたいが為(完全に自分の都合)に、無意識のうちに娘がどう感じているのかを無視した言葉を発していると思います。
そんな時こそ柔軟な代替案で、子供を追いつめることのないようにしたいです。