娘の3歳前半は、慢性便秘症に苦しんだ時期でした。便秘と聞くと、そこまで特別なものではないように感じますが、とても大変な状況が続きました。
今回は自閉症スペクトラムに多いとも言われる子供の便秘について、原因と改善した経緯についてご紹介します。
便秘症とは?自閉症スペクトラムの子供に多い
便秘症で苦しむ子供は意外と多いようですが、そもそも便秘症とはどういう状態なのでしょうか?
- 排便が週に3回未満
- 続けて5日以上出ない
- 毎日出ていたとしても少量
これが1~2ヵ月以上続くと、慢性便秘症
悪化すると巨大結腸症(腸が膨らむ)や、遺糞症(おもらしが続く)など
まさに慢性便秘に悩んでいたころ、ちょうど受診した小児神経科の先生に自閉症スペクトラムの子供は睡眠障害だけでなく、排泄障害も多いと言われました。
そう言われて私は納得!
確かに娘の便秘は娘のトラウマ的強いこだわりが悪循環となり、どんどん悪化していたからです。
アレルギー症状をきっかけに突然始まった便秘症
娘は1歳前に血液検査にて、かなり数値の高い複数の食物アレルギーが発覚しましたが、極端な偏食もあり、なかなか食べるという事自体が進まず、実際に症状を出したことはありませんでした。
しかし、2歳の終わり頃に、小麦で複数回の嘔吐をするアレルギー症状を起こしました。アレルギー症状は、その日のうちに受診し回復したのですが…
ちょうどその時を境に、便秘が始まったのです。
2歳半まで | 消化管アレルギーで慢性の下痢 |
2歳半~2歳の終わり | 健康的な排便 |
消化管アレルギーの症状がやっと治まり、産まれて初めて通常の便を出せるようになり数か月間、消化管の状態は良かったです。
それが、即時型食物アレルギーの症状を起こしたタイミングで便が固めになり、これまでとは真逆な便秘という症状に悩むことになりました。
娘の場合、きっかけはアレルギー症状による体調の変化だったのかもしれません。
便秘悪化のはじまり~便が固くて出血!痛みがトラウマに
- 便状態が少し硬めになったようで軽い切れ痔を起こした
- その痛みがトラウマとなり、便意を感じると自ら便を出さないように我慢
- お腹に便が溜まり、固くなり益々出すのが困難になる
この悪循環に陥り、自力ではどうにも脱出できない状況になってしまいました。
- 便が出るのは5日~1週間に一度
- 排便に1時間くらいかかる
- 排便時は大泣き雄たけび
便意の波が来ると、1時間くらい苦しみやっと出せればいいですが出ないこともあります。
もともと大をする時には、バーなどを握ったり私にしがみ付いたりしていました。その状態で手を握りしめ、物凄い力で体を震わせ気張っている訳ですが、何やら足をクロスさせて力んでいました。
実は便を出さずに止めていた!
始めのころは私も、娘が便意と戦っている姿を目にしても自分で便をストップしているとは思いもしませんでした。

娘の気張っている様子を見て、一生懸命踏ん張ってるんだなと思っていたのですが、だんだんと娘は便を出すために気張っているのではなく、お尻から便を出さないように力いっぱいストップしているという事に気づいたのです!
便が出てくるのを足をクロスさせて必死に耐えているのです。
自分がトイレに行きたいときに、今にも出てこようとする強い便意に耐えている状況を想像すると分かると思いますが、めちゃくちゃ辛い。
陣痛のようです汗
そんな辛い思いしなくても、さっさと出してしまった方がラクになれるのに!と思うのですが、娘にとってはそれよりも切れ痔の痛みのトラウマの方が勝っていたのです。
何度「うーん出すよーストップしたらダメよーー!」と声をかけても、娘の耳には届きません…
正に、当時の娘の状態そのものの記述がありました!
硬い便を出して肛門が切れ、痛い思いをすると、2~3歳のお子さんは、次の排便を我
慢してしまったり、肛門の筋肉を締めながら息むようになります。極端な例では、両足をX形にクロスして便を我慢します。便はしばらく我慢していると、出たくなくなりますから、そのまま大腸に便が残ります。大腸は、便から水分を吸収するのが仕事ですので、便はどんどん硬くなり、いよいよ出る時には非常な痛みをともなうことになり、お子さんは益々便を我慢するようになり、悪循環となります。日本小児栄養消化器肝臓学会 「こどもの便秘」より
娘と同じような思考により、便秘に悩む子供が大勢いるということにとても驚きました。
便秘の治療① 浣腸
便を自ら止めていて排便サイクルが狂っていることを、ちょうど受診したアレルギー科で相談したところ、浣腸を処方して頂きました。

浣腸をしても、結局は固い便を出すので痛いことには変わりない為、本人は辛く大泣きでとても壮絶な状況になりますが、かなり高い確率で無理やり排便させることができました。
たまに嫌がる娘が暴れるせいで、十分な量を浣腸できなかった時には不発に終わってしまうこともあり、どっと疲れるだけということもあります。
癇癪状態で大泣きで抵抗する娘に浣腸をするのは、とても私一人の手には負えず、必ず夫と二人体制で臨み、約5日に一回のペースで浣腸をしていました。
準備から浣腸、無事排便成功まで約1時間程かかり、お互いに辛い思いを味わう、この浣腸の儀式は約半年間も続きました泣
このころは歯科やアレルギー科など、行く先々で先生や看護師さんに浣腸をしないか聞いて確認していました笑
便秘が原因で嘔吐をくり返し夜間急患センターへ
処方してもらう浣腸でなんとか乗り切っていましたが、ある日異変が起こります。
- 浣腸で一旦排便すると2~3日は自力で出すことができるようになっていた
- それでも5~6日 出なければ浣腸をする
という日々を送っていたところ、
- 浣腸して排便
- 1時間後に嘔吐(ほとんど食べていないので液体のみ)
- さらに3~4回の嘔吐(横になった状態で噴水のように液体を吐いた)

もう夜間であったので、この嘔吐が何が原因なのか分からなかった私は、すぐに小児救急医療電話相談♯8000に問い合わせました。
そして、夜間急患センターに到着しレントゲン撮影したところ、浣腸により排便をしていたにも関わらず、まだ便とガスが溜まっている事が判明しました。嘔吐は便が腸に溜まっていることが原因とのことです。
その場で、さらに浣腸をしてもらい出るのを待ちましたが結局、便は出せず帰宅。
そして帰宅後少しした頃に、溜まっていたものが見事に出ました!
もう朝方で外は明るくなっていました。
便秘の治療② マグネシウム
夜間急患センターの先生にアドバイスをもらい、毎月のアレルギー科受診の際にマグネシウムを処方してもらうようになり、飲み始めてすぐにその効果は出始めました。
腸内で水分を吸収し腸内容物を増やし、柔らかくして自然に排便を促す
マグネシウムを摂取するようになると、すっかり浣腸の力を借りずに自力で出すことができるようになったのです!(お薬の効果なので厳密には自力ではないですね笑)
しかも、このお薬はクセになりにくいということで、安心して飲ませる事ができました。
浣腸の欠かせない日々は本当にお互ストレスが強く辛かったです。
- 便が溜まってくると食欲が落ち、ただでさえ偏食なのが食べなくなる
- 今日は浣腸をするというのを本人に察知されないよう準備(浣腸を湯煎で温めます)
- 娘が力いっぱい抵抗する為、浣腸の液体が中へ入って行かずに不発に終わる
- 浣腸の効き目に反し、便意を止めようと絶叫する娘(騒音対策必須)
このような大変な約半年の生活を一変好転させてくれたマグネシウム。本当に早く飲んでいればよかったよー。
安定して排便が出来るようになってからも、また便秘がぶり返して食事量が減る事を危惧し、先生が少量のマグネシウムを長期で処方してくれていました。
排便の状況により飲むのを控えたり調節しながら約1年弱続けて、今ではすっかりマグネシウムなしで健康的なサイクルで排便出来るようになりました。
[jin_icon_pen color=”#e9546b” size=”20px”]今回は約半年間つきあった慢性便秘症について書きました。
小さい子供の便秘は本人もトラウマ意識を抱えやすく抜け出すのが難しいかもしれません。
慢性的になる前に、ぜひ適切な対処をしてあげてください。